テノン|椅子・ソファ
人の手と目でつくる椅子
兵庫県に工房をかまえるTenon(テノン)は、代表・関野央也氏を含め、椅子職人4名で制作を行う小さな椅子メーカーです。木工機械と手しごとによって生み出される椅子は、人の手によるものとは思えないほど、精緻で繊細な見た目と心地よい座りごこち、そして、おどろくほどの軽さが印象的です。
製材から仕上げまでのいくつもの工程を、ひとりが一貫して行っているTenon。分業や流れ作業では見過ごされがちな、細部と全体のバランスがとれた椅子は、どんな空間にも馴染みながら、しっかりとした存在感を放っています。
Tenonの椅子づくりにおいて、もっとも重要なプロセスの1つが図面引き。実寸の図面を描き、デザインと制作を行き来することでしか生まれないディテールは、体にやさしく沿う座り心地や、シンプルながら緊張感のあるフォルムを引き出しています。
コンピューター制御の機械や流れ作業に頼らず、また、時間と手間を惜しむことなく、職人自らの目と手を信じる。その地道なプロセスを、椅子の研ぎ澄まされた美しさが伝えています。
ホゾ組みの精度で、軽さと強度を実現
Tenonを代表する「STチェア」の重さは約2.7kgと、肘掛椅子としてはかなりの軽さ。極限までそぎ落とされた無駄のないフォルムは、スタッキングしても軽やかな印象です。
細く軽やかな見た目ながら、しっかりとした強度をたもてるのは、部材同士をつなぐ「ホゾ組み」に秘密があります。細い部材でも強度を出すために、きつすぎず、ゆるすぎない絶妙な加工を0.1mm単位でほどこしているのです。最新のNCルーターを使った大量生産品では決して真似できない細やかな手しごとは、経験豊富な職人の勘と技術があってこそです。
「STチェア」は、国際的な公募展である【IFDA 旭川国際家具コンペティション 2014】で、 最優秀賞である「ゴールドリーフ賞」を受賞。また、【グッドデザイン賞 2015】でも、 「BEST100 特別賞 ものづくりグッドデザイン賞」を受賞するなど、高い評価を受けました。
またtenonで制作される椅子は、そのフォルムの美しさと機能性から、有名建築家や空間デザイナーなどの目に留まり、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星」や、JR九州博多駅のコンコースをはじめ、さまざまな公共空間でも採用されています。
最近では、浜松市とも縁の深い建築家・堀部安嗣氏が設計・デザインを手がけた豪華客船「GUNTU(ガンツウ)」にも採用され、話題となりました。